まさかの白石晃士さんと来た

貞子VS伽倻子、作品が公開されると同時に配役もそうだが、一体誰がメガホンを取るかも気になったはず。リングシリーズでは『中田秀夫』さん、呪怨シリーズでは『清水崇』さんがそれぞれ有名だが、両者ともスタッフとして参加はしていません。全く別の人が監督を勤めることになる。最近の映画に関してはつまらないと、もう少し面白く作品を作ってくれないかと酷評が度々飛び交うばかりだ。邦画は本当につまらなくなったと考えている人もいるでしょう。ただそうした中でも鬼才ともいうべき人材は眠っているものです。

この方については知っている人もそれなりにいると思う、それは映画をあまり鑑賞しない筆者ですら知っているくらいだ。ただ筆者の場合は名前というよりは、彼の作った一作品を見て忘れられなくなってしまったといったほうが正しいかもしれません。これまでホラー映画を数多く手がけている『白石晃士』さんが、この貞子VS伽倻子の作品を撮ることとなった。

まさかのそっちか、と最初に思ったものです。どうしてかというと、正真正銘でこの方が作る作品は現代の風潮からすればまず間違いなくリアルタイムで放送できないような作品を多く作り続けているからだ。

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多くのホラー映画を制作

白石晃士さんが本格的に監督としてその手にメガホンを握り始めたのは、2000年代後半頃からとなっている。代表作はあるかと尋ねられると一般的な知名度よりも巷での話題という点で、彼のことを知っていると答える人が多いかもしれません。それが何を意味しているかというと、かなり飛び抜けたホラーというよりは猟奇的な映画作品を制作していたりするからだ。

中でも筆者が監督の存在を知った作品として挙げるのは、2009年に公開された『グロテスク』と呼ばれる作品についてです。こちらの作品、ガチで見ないほうがいいと言える作品だ。どうしてかというと、スプラッターすぎるその内容から、今ではほとんどの店舗で販売中止されている曰くつきの超問題作と言えるからです。どんな内容かと言葉にするのも難しいですが、言ってしまえば『囚われたカップルがひたすら狂人な男に生きたまま人体解剖されていく』という話だからだ。見ないほうが良いと言った理由はここが一番影響しています。

ホラーと猟奇は違うもの

白石晃士さんが悪い、と言いたいわけではない。実際この方ならまだホラー映画を作らせれば間違いなくこれまでの流れを踏みながらもどう展開していくのか検討はおろか予想することも難しい映画を、作り出すことも出来るかもしれません。1つ意識してほしい点といえば、日本的なホラー映画に見られていた内容には確かに描写を慎重にしなければならない場面もありました。時折おぞましいような表現をしていることはあるものの、スプラッターすぎる表現ばかりが先行しているのではないかと思う事がある。

リングの場合、貞子に呪い殺されはするものの、身体を引き裂かれることもなければ人体の一部がもぎ取られるといったこともありません。死者の顔がこの世のものとは思えないような表情になるだけで、流血めいた表現はあまり見られない。対して呪怨の場合は伽倻子により引きずり込まれれば、その一方で物理的に殺害されるケースもある。この世のものとは思えないほど、人間だったものが肉塊になる瞬間が呪怨にはよく見られる。グロテスクな表現に至っては呪怨では定番となっていますが、呪怨2以降の作品についてはそれが妙に強調されて怖さにしても身の毛もよだつといった恐怖感が損なわれている感がある。

ホラーだから怖くすれば良いとはいうものの、そういう怖さを求めているわけではないと思うのがホラー映画苦手な筆者なりの考えだ。

涼しくなる話

静かにひっそりと襲い掛かってくる恐怖

日本のホラー映画はなんといっても音なく突然襲い掛かってくるシーンが何とも言えない恐怖心を煽ります。今でもたまに言われる呪怨の中でも怖いシーンと題されるものでも、異常現象に怯える女性が部屋のベッドにくるまっていると突如布団の中から引っ張られて覗き込むと、そこには伽椰子がいてそのままこの世ならざる場所へ連れて行かれてしまいます。このシーンは呪怨の中でも名シーンと謳われているほど、人気の怖いシーンだ。怖いシーンが人気というのもかなり違和感はありますが、まぁホラー映画ですから仕方がない。

リングはなんといってものそりのそりとテレビの中から出てきて、ゆっくりとじわじわ立ち上がって何をするわけでもなく、見ただけで呪い殺してしまう。単調なシーンですが、インパクトに関しては当時ほかの作品を凌駕するだけの魅力がそこにありました。

このようにリングと呪怨、双方の良さが生かされすぎず殺され過ぎない内容にならないと、成功への道は切り開かれないでしょう。既に完成しているだろう作品、その内容は是非見てみたいところだ。ただ既に『貞子VS伽倻子』と言っている時点で、ホラーキャラクター同士が戦うのかよと別の視点でどうなるのかと、心配にもなります。